2015年09月29日

手裏剣戦隊ニンニンジャー THE MOVIE

〈2015年映画感想36本目〉
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手裏剣戦隊ニンニンジャー THE MOVIE 恐竜殿さまアッパレ忍法帖!

2015年 日本 26分
監督:中沢祥次郎
配給:東映
出演:西川俊介,松本岳,中村嘉惟人,矢野優花,山谷花純,多和田秀弥,藤本敏史,矢柴俊博,笹野高史,潘まぐみ,東地宏樹

 毎年恒例となっている夏のスーパー戦隊映画です。いつもどおりに『仮面ライダードライブ THE MOVIE』との同時上映となっています。まあ,劇場版とは言え,スーパー戦隊の方は上映時間が26分なので,通常のTV版に比べて5分程度長いくらい。よって,寧ろ特別篇と言った方が相応しい感じです。お笑いコンビFUJIWARAの藤本敏史が客演していますが,これが売りになっているのかは分かりません。良くも悪くも『手裏剣戦隊ニンニンジャー』らしい作品だったとは思います。物語としてはかなり雑な印象がありますが,時間の制約がある中では或る程度仕方がないのかなと諦め半分。それでも,もう少し何とかならなかったのかなと思います。なお,夏の映画ということで他のスーパー戦隊からの客演はありません。それでいいと思います。

 敵として登場するのは牙鬼軍団の侍大将である弓張重三。序盤で散った蛾眉雷蔵の剣技の師という設定でありますが,それらしさはあまり感じなかった。主武器が弓だった印象の方が強いですね。見た目はかなり異形の姿で格好良い。能面としての意匠は痩せ男の模様です。十六夜九衛門がもう少し物語に絡んでくれると面白かったのだけどなあ。ニンニンジャー側ではアカニンジャーこと天晴が物語の牽引役として活躍してくれるのが嬉しい。忍者という設定を如何なく発揮しているのか,割合に変身前でも激しい動きがあったのが面白かったです。寧ろ,本篇よりも忍者をしている印象が強い。また,追加戦士であるスターニンジャーの出番は他戦隊の劇場版よりも多かったのは,登場が早めだった恩恵に預かっているのでしょう。いずれにしても,六番目の戦士という特別枠ではなくて,ニンニンジャーの一員という立ち位置に収まっているのは好印象であります。なお,撮影地が彦根城ということで戦闘はかなり見映えがしていました。恐竜殿様が恐竜殿様であるべき理由は最後まで分からなかったけれどね。この種の客演を本来の対象である子供は喜ぶのかなあ。個人的には釈然としません。

 もう少し脚本には頑張って欲しかった感もありますが,手裏剣戦隊ニンニンジャーの忍者としての魅力は存分に発揮されていたように思います。同時上映の『仮面ライダードライブ THE MOVIE』に比べると喜劇調なのは本来の番組の雰囲気にも因るものでありましょうが,平衡感覚は取れていました。後は造形だけではなく魅力的な敵として弓張重三が描かれていれば,なお良かったのですけれども。まあ,いつも通りの『手裏剣戦隊ニンニンジャー』としては悪くない出来だったと思います。
posted by 森山樹 at 06:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想(劇場)

2015年09月27日

ターミネーター:新起動/ジェニシス

〈2015年映画感想35本目〉
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ターミネーター:新起動/ジェニシス

TERMINATOR GENISYS
2015年 日本 125分
監督:アラン・テイラー
配給:パラマウント・ピクチャーズ
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー,ジェイソン・クラーク,エミリア・クラーク,ジェイ・コートニー,イ・ビョンホン,J・K・シモンズ,コートニー・B・ヴァンス,マット・スミス

 〈ターミネーター〉シリーズの第5作目。そして,新たな三部作の第1作目となることが予定されています。というわけで,かつての〈ターミネーター〉シリーズの設定を踏襲しながらも,全く新たな物語が描かれます。寧ろ,過去作に触れている方が登場人物の名前が共通している為に混乱を招くかもしれません。元来から歴史改変を含有するシリーズである為に然程には気になりませんが,ジェームズ・キャメロンが関与していた『ターミネーター』『ターミネーター2』が特に基本となっている感があります。『ターミネーター4』はまともに鑑賞していないので,よく分かりませんけれども。いずれにせよ,ジョン・コナーによってジョンの母であるサラ・コナーをスカイネットの魔手から護る為に未来から送り込まれたカイル・リースの活躍が描かれます。勿論,T-800ことアーノルド・シュワルツェネッガーも健在。というか,T-800がいないと始まりません。今作では時代の転移に応じて青年,中年,老年と三つの姿を見せてくれますが,年を重ねるに連れて渋みを増してくるのが素晴らしい。最新鋭のT-1000との戦いも圧巻でありました。性能に劣る旧型だからこそ,カイルやサラとの連携が必要というのは非常に楽しかったです。勿論,T-1000の不気味なまでの存在感も素晴らしかったのですけれども。やはり,ターミネーターの格好良さはたまらないものがあります。

 事実上の主人公がカイル・リースとサラ・コナーであることは『ターミネーター』とほぼ同様。但し,ジョン・コナーの立ち位置がかなり変わっているのが面白い。2029年から1984年にカイル・リースを送り込むまでは安心して観られていたのですが,その後のジョン・コナーについては次回作以降への登場も危惧してしまうくらい。きちんと収集が付けられるのか楽しみです。カイル・リース役はジェイ・コートニー。そして,サラ・コナー役はエミリア・クラーク。このエミリア・クラークの魅力は非常に際立っていました。強さと美しさを兼ね備えたサラ・コナーにはうってつけの人物と言えるでしょう。T-800のアーノルド・シュワルツェネッガーは勿論素晴らしい格好良さ。特に老境に入った姿が一番格好いいというのが素敵です。サラの育ての親であり,守護者でもある存在として,大いに活躍を見せてくれます。30年に及ぶ人間社会での潜伏の故か,ぎこちない表情の中に冗談を交えるなどの人間味を見せてくれます。サラを護る為に彼を過去へと送り込んだ存在は結局明かされず。このあたりはシリーズを通じての伏線となるのかもしれません。そのT-800を執拗に追い続ける刺客として登場のT-1000を演じるのはイ・ビョンホン。流体金属の機体を生かした戦闘が凄まじく素敵です。イ・ビョンホンの切れのある動きが似つかわしい。知恵を駆使してT-1000と戦うT-800たちの姿が印象に残りました。

 新たな三部作の第1作目としては期待感を煽る出来だったと思います。サイバーダイン社が普及させたOSジェニシスに内包された陰謀は一応阻止された形にはなりますが,破壊されたのはスカイネット本体ではなく,その一端に過ぎないというのが既に明らかになっています。本来ならば人類を導く筈のジョン・コナーは失われてしまっており,未来の行く末は予想が付きません。但し,カイルとサラが結ばれることは確実なので,新たなジョンの誕生もまた恐らくは事実の筈。この背理を如何に解決するのかは次回作以降ということになります。公開は暫く先のことになりそうですが,楽しみに待ちたいと思います。やっぱり,アーノルド・シュワルツェネッガーは格好いいですねえ。たまりません。
posted by 森山樹 at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想(劇場)

2015年09月26日

攻殻機動隊 新劇場版

〈2015年映画感想34本目〉
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攻殻機動隊 新劇場版
2015年 日本 100分
監督:黄瀬和哉/野村和也
配給:東宝映像事業部
声の出演:坂本真綾,松田健一郎,新垣樽助,咲野俊介,中國卓郎,上田耀司,中井和哉,沢城みゆき,浅野まゆみ,野島健児,塾一久,藩めぐみ,麦人

 士郎正宗原作によるサイバーパンク漫画のアニメ化作品です。これまでに幾度も映像化されている〈攻殻機動隊〉ですが,今作は『攻殻機動隊ARISE』の設定及び世界観を継承している模様。攻殻機動隊こと公安9課の創設に至る経緯と主人公である草薙素子の過去が描かれます。実際のところ,〈攻殻機動隊〉をきちんと鑑賞するのは今作が初めて。それ故に説明不足に感じる点や理解が及ばない点も多々ありましたが,それはそれとして作品を楽しむことが出来ました。やはり近未来を舞台としたサイバーパンク作品は好みであります。〈攻殻機動隊〉自体も以前から興味はあったのですが,触れる機会を逸し続けていました。想像通りに自分好みの世界観であり,もっと早くに触れていればと悔やみます。キャラクターデザインは割と独特な筆致の気もするけれど,世界観にはあっていました。なお,脚本は冲方丁が務めています。

 国防軍の不満分子による国会議事堂籠城事件に端を発する巨大な陰謀に草薙素子と彼女の麾下に集った7人の兵士による戦いが描かれます。物語としては割と正統派に思えますが,或いはこの分野の日本における原点はこの〈攻殻機動隊〉にこそあるのですから,それも宜なるかなといった印象。近未来の発達した,或いはそれ故に荒廃した社会の嫌な現実感がたまりません。こういった社会に生きたいとは思いませんが,そこはかとない憧憬を覚えるのもまた事実です。素子を含む全員が多かれ少なかれ身体を義体化している模様ですが,素子のみは胎児期から義体を施され,成長に従って義体を換装しているとのこと。旧式義体と新式義体では電脳の規格が異なる為に全身を旧式義体化してしまうと整備を受けられない,所謂デッドエンドとして朽ち果てるのを待つばかりとなります。このあたりの設定が物語にきちんと織り込まれているのが素敵。或る種のディストピアでもあるのでしょう。素子の上官であるクルツ中佐は全身義体を遠隔操作で操ることでこの問題を解消していました。序盤での彼女の爆死はかなり衝撃的な展開でありました。なお,本作で一番好きなのは公安9課の荒巻部長かなあ。社会正義を追求しながらも私情を交えない彼のような存在が一番信用できます。

 正直なところ,〈攻殻機動隊〉に既に触れていることが前提の作品となっている為に,表層的な部分の理解に留まってしまうというのが残念。過去作に触れていれば,もっと違った感慨もあるのでしょう。素子麾下の7人もきちんと紹介されることはないので,名前と個性が一致しないのが残念。流石にバトーとトグサぐらいは分かるのですが。但し,提示された世界観や設定は大変に好みでありました。過去作を含めて,今後の〈攻殻機動隊〉の展開にはなるべく関わっていきたいと思います。何よりもタチコマの可愛らしさが秀逸でした。まさか多脚戦車に萌えるとは思ってもいませんでした。或る意味では今作のヒロインでありましょう。
posted by 森山樹 at 09:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想(劇場)

2015年09月24日

アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン

〈2015年映画感想33本目〉
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アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン
AVENGERS: AGE OF ULTRON
2015年 アメリカ 141分
監督:ジョン・ウェドン
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
出演:ロバート・ダウニー・Jr,クリス・ヘムズワース,マーク・ラファロ,クリス・エヴァンス,スカーレット・ヨハンソン,ジェレミー・レナー,ドン・チードル,アーロン・テイラー=ジョンソン,エリザベス・オルセン,ポール・ベタニー,サミュエル・L・ジャクソン

 『アベンジャーズ』の続篇で,〈マーベル・シネマティック・ユニバース〉シリーズの第11作目。アイアンマンことトニー・スタークによって開発された人工知能を有するウルトロンとの戦いが描かれます。相変わらず,出演陣は豪華そのもの。アベンジャーズとしてはアイアンマン,マイティ・ソー,ハルク,キャプテン・アメリカ,ブラック・ウィドウ,ホークアイが主役格となっていますが,他にもウォーマシンやファルコンも登場してきます。また,新たに加わったクイック・シルバーとスカーレット・ウィッチが重要な役割を担います。逆に味方が豪華過ぎて,敵であるウルトロンが見劣りしてしまうのが寂しい。ウルトロン自体はトニー・スタークが開発しただけに圧倒的な強さを見せるのですが,終盤はほぼ数だけが頼みとなってしまいます。前作のロキ程にはウルトロンに魅力がないというのは残念です。そもそもがトニー・スタークが他のアベンジャーズの反対を押し切ってウルトロンを開発しなければ,今回の事態は避けられたということになるのが爽快感を欠く要因のひとつ。暴走するハルクを止めるべくハルク・バスターで挑むアイアンマンなど戦闘自体の見どころは多かったのですけれどね。肝心の物語にあまり満足することが出来ませんでした。ロキの杖の万能感は素敵でしたけれどね。

 登場人物が多いのですが,個性が立っているのは流石というべきか。特にブラック・ウィドウとホークアイの背景が描かれたのは興味深い。特にホークアイの戦う理由は王道ながらも格好いい。逆に前作でほぼ主人公を務めたマイティ・ソーはアベンジャーズの中心人物ではあるものの物語の中心からは外れている感じ。ヴィジョンとして目覚めたJ.A.R.V.I.Sとムジョルニアの鎚を介した交流は楽しかったけれどね。アベンジャーズも一枚岩ではなくトニー・スタークとキャプテン・アメリカとはことあるごとに激突します。ともに目指すところは同じ筈なのに手段が正反対というのですから宜なるかな。それでもウルトロンとの戦いでは息の合ったところを見せるのが素敵です。新たに登場のクイック・シルバーとスカーレット・ウィッチの双子は結構好み。特に超加速を見せるクイック・シルバーは格好良かった。それだけに今作での退場が残念でなりません。もう少し活躍を見せて欲しかった。スカーレット・ウィッチはテレキネシスとマインド・コントロールが武器ですが,力を発動する際の紅い闘気がたまらなく素敵。ホークアイとの関わりも非常に良かったです。ホークアイの立ち位置は今回格好良すぎですよね。

 お祭り映画としては素直に楽しかったけれど,物語面ではやや不満が大きかった。登場人物が多い分,その見せ場を重視すると物語がお座成りになってしまうのかもしれません。とは言え,〈マーベル・シネマティック・ユニバース〉の集大成のひとつとして存分に楽しむことが出来ました。物語の終了後にはサノスがインフィニティ・ストーンの回収を自ら宣言するなど,次回作への期待感の煽り方も上手い。問題はトニー・スタークとホークアイが去り,ハルクが失踪したアベンジャーズの現状と言えるでしょう。アスガルドへソーも帰って行きましたが,此方は訣別したわけではない筈。キャプテン・アメリカとブラック・ウィドウが鍛える新たなアベンジャーズがヴィジョン,ウォーマシン,ファルコン,スカーレット・ウィッチというのは不安が残ります。数年後に予定されている新たなる〈アベンジャーズ〉で如何なる物語が織りなされるのかを楽しみに待ちたいと思います。
posted by 森山樹 at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想(劇場)

2015年09月23日

チャイルド44

〈2015年映画感想32本目〉
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チャイルド44
CHILD 44
2015年 アメリカ 137分
監督:ダニエル・エスピノーサ
配給:ギャガ
出演:トム・ハーディ,ゲイリー・オールドマン,ノオミ・ラパス,ジョエル・キナマン,ジェイソン・クラーク,ヴァンサン・カッセル,バディ・コンシダイン,ファレス・ファレス

 1950年代のソヴィエト連邦を舞台としたスリラー映画。原作小説も高い評価を受けていますが未読であります。題材となったのはウクライナの猟奇的殺人者アンドレイ・チカチーロ事件ですが,時代は大きく変更されています。第二次世界大戦後の貧窮と飢餓に苦しむソヴィエト連邦の描写が非常に印象的。ソ連国家保安庁の捜査官として制約された行動の中で事件の真相を追う主人公レオとその妻ライーサとの絆の再生が主題となっているようにも思います。スターリンによる「殺人は資本主義の病である」という方針に逆らい,連続殺人事件の真相を追うレオは孤独な戦いを強いられることになるのが辛い。全般的に陰鬱な雰囲気が漂い,結末までは爽快感に欠けるのは事実。しかしながら,物語としては非常に楽しめました。やや御都合主義にも感じられますが,徹底的に地道な捜査を進めるレオが格好いい。嘗ての部下に命を狙われながらも,国家の意向に盲目的に従うのではなく,人間としての意志に目覚める姿は普遍的な美しさを有しているように思います。スターリン期のソ連という特殊な時代背景も織り込まれているのが個人的には非常に楽しかったです。

 主人公レオ・デミドフを演じるのはトム・ハーディ。強靭で精悍なソ連国家保安庁捜査官として素晴らしい活躍を見せてくれます。と言っても,派手さはまるでなく,泥臭い地味な行動に終始しますが,それが素晴らしく似合っています。国家への奉仕と人間としての尊厳の間で葛藤する姿が非常に印象的でした。レオの妻で教師のライーサ役はノオミ・ラパス。レオとライーサが本当の夫婦となるまでの過程が興味深い。如何にソ連国家保安庁というものが恐れられていたかということが分かります。同時に国家の意向に従わなかった役人の処遇が如何に苛烈なものかということも。このあたりは社会主義国家というよりもスターリンという独裁者の意向という意味合いが強いのでしょう。逆に当初は典型的な官僚であったネステロフ将軍がレオの捜査結果を認めて協力体制に入るという展開は熱かった。ネステロフ将軍を演じるのがゲイリー・オールドマンということで異様な存在感があります。レオの嘗ての部下にして後に宿敵となるワシーリー役はジョエル・キナマン。その冷酷なソ連将校ぶりがたまらなく素敵です。最後のレオとの激戦も見応えがありました。その結末をライーサが握っていたというのも面白かった。

 スリラー映画好きとして存分に楽しむことが出来ました。提示される情報量が少ない為にミステリィ映画としてはやや不親切かなあとも思いますが,犯人当てを主眼とした作品ではないので問題はありません。何よりもやはり1950年代のソヴィエト連邦の雰囲気がたまりません。決して,あの時代に行きたいとは思いませんが,或る種の憧憬を覚えてしまうのは,スラヴ好きとしての血故でしょうか。レオとライーサ,そして夫妻に引き取られたふたりの少女の前に今後も困難な時代が存在するのは歴史の徒としては知識の範疇にあるわけですが,幸せであって欲しいと願いたくなる作品でありました。
posted by 森山樹 at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想(劇場)