2015年07月29日

THE NEXT GENERATIONパトレイバー/首都決戦

〈2015年映画感想22本目〉
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THE NEXT GENERATIONパトレイバー/首都決戦
2015年 日本 94分
監督:押井守
配給:松竹
出演:真野恵里菜,筧利夫,福士誠治,太田莉奈,堀本能礼,田尻茂一,しおつかこうへい,千葉繁,渡辺哲,寺泉憲,森カンナ,高島礼子

 実写版〈機動警察パトレイバー〉である〈THE NEXT GENERATIONパトレイバー〉の劇場版長篇作品です。笑いに溢れていた〈THE NEXT GENERATIONパトレイバー〉の短篇シリーズとは異なり,東京を舞台とに有り得るかもしれない未来の姿が真摯に描き出されます。というよりも,事実上『機動警察パトレイバー2 the movie』の実写化作品のようになっているのが面白い。〈THE NEXT GENERATIONパトレイバー〉の世界観は『機動警察パトレイバー2 the movie』の時間軸を受け継いでいる為に,時間を経て同様の事態が起きた日本の姿と捉えるほうが正確なのかもしれません。いずれにせよ,首都を制圧すべく決起した自衛隊の一派と対峙する特車二課の活躍が描かれます。敵が自衛隊内のテロリスト集団だけではなく,特車二課を敵視する警視庁上層部も含まれるということで,事実上孤立無援に陥った特車二課を統べる後藤田隊長が基本的には主人公格。既に老朽化した98式AVイングラム2機で最新鋭の戦闘ヘリAH-88J2改グレイゴーストと戦うことを余儀なくされる特車二課の戦いが熱いです。普段はどんなにいい加減でもいざというときは正義の味方として立つ姿は素直に格好良く思えました。

 特車二課の面々は全部で13篇に及ぶ短篇シリーズを通じてすっかり愛着が湧いてしまいました。特に真野恵里菜が演じる泉野明と太田莉奈が演じるカーシャは大のお気に入り。今回はテロリスト集団との直接的な戦闘もある為にカーシャの活躍が目立っています。一方で明はイングラム1号機の操縦者としてグレイゴーストを駆る灰原零と対峙する重要な役割を担います。この灰原との戦いはまさに特車二課の総力戦といった趣が強くて非常に好み。最新鋭の戦闘ヘリに対峙するのが旧式の機体と信頼する仲間といった構図が燃えます。その灰原と塩原佑馬とのひと時の交流は印象的だったのですが,物語には然程大きな影響を及ぼさなかったのは謎。灰原と明の共通点であるバスケットボールが強調されているのも興味深いものがありました。灰原はグレイゴーストの操縦者としての圧倒的な存在感が素敵。但し,結局その素性が明らかにされることはありませんでした。既に死んでいる筈の存在であるなど,裏にはいろいろな背景が隠されていそうな人物ではあるのですけれども。そして,やはり筧利夫が演じる後藤田隊長の格好良さが素晴らしい。『機動警察パトレイバー2 the movie』同様に警視庁上層部に啖呵を切る姿が素晴らしかったです。完全に南雲さんと後藤さんに嵌められてしまった印象は拭えませんけれども。

 〈THE NEXT GENERATIONパトレイバー〉の最後を飾るのに相応しい作品でありました。この三代目の特車二課にも本当に愛着が湧いてしまっています。これで終えるのが惜しいくらい。また,事実上声だけの出演とは言え,南雲しのぶの重要な役回りでの登場も嬉しかった。同様に後藤隊長も出演して欲しかったなあと思います。〈機動警察パトレイバー〉を実写化するという非常に困難な企画に対して,個人的には殆ど満点を挙げたいほどの回答を示してくれたことに感謝します。そして,時を経ても色褪せない〈機動警察パトレイバー〉という作品の秀逸さも実感しました。今後も如何なる形かはともかくとして,再び新たな〈機動警察パトレイバー〉を提示してくれることに期待したいものです。先ずは10月に公開予定の本作のディレクターズカット版からですけれどもね。
posted by 森山樹 at 07:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想(劇場)

2015年07月26日

PERSONA3 The Movie #3 Falling Down

〈2015年映画感想21本目〉
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PERSONA3 The Movie #3 Falling Down
2015年 日本 87分
監督:元永慶太郎
配給:アニプレックス
声の出演:石田彰,豊口めぐみ,鳥海浩輔,田中理恵,緑川光,能登麻美子,坂本真綾,緒方恵美,中井和哉,沢城みゆき

 〈PERSONA3 The Movie〉の第3章。望月綾時の転入からチドリの死までが中心となります。物語も中盤を超えて,終局に向けて進んでいきます。そんな中での伊織順平とチドリの交流や望月綾時の明るさは救いではありますが,そのいずれもが悲劇の序曲となってしまうのは辛い。このあたりは原作ゲームを遊んでいる者としては覚悟をしていたことではありますが,やはり精神的に来るものはあります。第二章での荒垣先輩の死と言い,『ペルソナ3』は全般的に死の影が常に付き纏うのですよね。陽性の『ペルソナ4』と異なり,陰鬱な印象を拭うことが出来ません。だからこそ,望月綾時の転入により描かれる日常風景は本当に楽しかった。此処まで全くと言っていい程に触れられなかった特別課外活動部以外との絆が多少なりとも描かれたのは収穫と言えるでしょう。修学旅行は完全に笑いに満ちていましたね。そこから,一気にストレガとの対峙により運命は急転してしまうわけですけれども。チドリに対して順平が見せた男としての優しさがたまらなかったです。チドリが残した順平の絵があまりにも切ないよね。

 長大な物語を全4章で構成するということで,物語は基本的に駆け足気味。仕方がないことではあるのですが,原作を知っていないと分かり難い部分は多いのではないかなと思います。また,中盤の大きな出来事であった筈のペルソナの進化が現時点では順平のヘルメスからトリスメギストスへしか描かれていないのは不満があります。尤も,チドリのペルソナであるメーディアを吸収合体したようにも見えるトリスメギストスの誕生は燃えるものがありました。ストレガのタカヤとジンの存在感は素敵。そして何よりも今章で最も印象的だったのは主人公である結城理,ファルロス,望月綾時の三役を演じる石田彰の熱演でありましょう。落ち着いた結城理と謎めいたファルロス,そして軽薄で明るい望月綾時を演じ分ける技量が素晴らしい。デスとして目覚めた望月綾時が結城理と対峙する最終場面の盛り上がりがたまりません。美鶴先輩との絡みが殆どで結城理とはあまり関わりがなかったゆかりに比べてアイギスが完全にヒロイン格となってしまっているのは気になるところ。本作でもやはり最終的にアイギスが結城理の戦いを見届ける役回りを担うのでありましょうか。

 残すは遂に第4章のみ。公開は2016年1月と予告されているのが待ち遠しい。原作の12月と1月,そして3月の物語が描かれることになるのでしょう。エリザベスが如何なる役割を果たすのか楽しみ。原作は様々に解釈出来る結末となりましたが,劇場版も同様の結末を見るのか,或いは異なる終わり方を迎えるのか期待したいと思います。個人的には明るい未来を予感させて欲しいものです。せめて,最終章くらいは90分ではなく120分くらい時間を取って丹念に描写出来ないものかなあ。あらすじを追いかけているだけに感じられてしまうのは残念です。
posted by 森山樹 at 08:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想(劇場)

2015年07月25日

ジュピター

〈2015年映画感想20本目〉
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ジュピター
JUPITER ASCENDING
2015年 アメリカ 127分
監督:ラナ・ウォシャウスキー,アンディ・ウォシャウスキー
配給:ワーナー・ブラザーズ
出演:チャニング・テイタム,ミラ・クニス,ショーン・ビーン,エディ・レッドメイン,ダグラス・ブース,タペンス・ミドルトン,ペ・ドゥナ

 ウォシャウスキー姉弟によるSFアクション映画です。〈マトリックス〉シリーズを手掛けたウォシャウスキー姉弟だけに映像美は素晴らしい。逆に言えば,映像美以外は然程目立ったところのない作品でありました。面白くないわけではないのですが,物語展開にもやや無理がある感は否めません。平凡な女の子が実は全宇宙を総べる王朝の血を引く存在であり,その王位を狙う兄弟たちの争いに巻き込まれていくという設定は王道ではありますが同時に凡庸であるとも言えます。また,その戦いの最中で彼女を護る戦士との身分違いの恋が芽生えるというのもありがち。目新しさという点ははっきりと欠けていました。世界観或いは映像の壮大さに比して物語が小さい気がするのですよね。このあたりの均衡のなさに違和感を覚えます。とは言え,映像としての美しさはやはり素晴らしいのも事実。或いは何も考えずに純粋に娯楽として楽しむ分には問題はないかと思います。高度な科学技術を持ちながら,何処となく中世的な印象のある世界は割と好みでありました。

 主人公のジュピターを演じるのはミラ・クニス。その美人ぶりに惚れ惚れ。序盤の虐げられる場面があった為に逃避している印象が強かったのはちょっと残念です。序盤あってこその結末の綺麗な纏まり方というのもあるのですけれども。そのジュピターを護る戦士ケイン役はチャニング・テイタム。屈強な戦士としての魅力を存分に見せてくれました。空を飛べる靴といった前時代的な道具も似つかわしい。王位継承の為にジュピターを狙うのはエディ・レッドメイン,ダグラス・ブース,タペンス・ミドルトンのアブラクサスの名を冠する兄弟。特に長兄バレム役のエディ・レッドメインは役回りがよく似合っていました。線の細さが偏執的な性格をよく表していたように思います。他のふたりはそれ程印象が強くありません。というか,実際に王位を心から欲しがっていたのはバレムだけではなかったのかしら。継承権などに拘らず,実力でその地位を奪えばよかったのになあと思います。このあたりの中世的な雰囲気が世界観の特徴と言えるのでしょうけれども。堕天使アブラクサスの名にそれ程意味がなかったのも残念。このあたりは単なる雰囲気づくりかもしれません。ジュピターの家族が妙に個性的だったのは楽しかったです。

 予告篇で煽られた期待感は当てが外れた感じ。王道の物語も悪くはないのですが,後に残る程に強烈な印象は残りませんでした。尤も,娯楽として楽しむ分には悪くはないようにも思います。何よりも,ミラ・クニスの魅力を存分に味わうことが出来るのは好印象。また,その映像美はやはり特筆もの。良い点も多いのですが,それが微妙に噛み合っていない感がありました。それ故に全体として纏まりに欠け,結果として印象の薄さに繋がっているのかもしれません。その意味では惜しい作品だったということになるのでしょう。個人的にはやはり物語に独創性が欲しかったところではあります。
posted by 森山樹 at 09:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想(劇場)

2015年07月13日

ワイルド・スピード SKY MISSION

〈2015年映画感想19本目〉
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ワイルド・スピードSKY MISSION
FAST & FURIOUS 7
2015年 アメリカ 138分
監督:ジェームズ・ワン
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ/東宝東和
出演:ヴィン・ディーゼル,ポール・ウォーカー,ドウェイン・ジョンソン,ミシェル・ロドリゲス,ジューダナ・ブリュースター,ジェイソン・ステイサム,カート・ラッセル,ナタリー・エマニュエル

 〈ワイルド・スピード〉第7作目。そして,ブライアン・オコナーを演じてきたポール・ウォーカーの最後の作品ということにもなります。今回の敵は前作『ワイルド・スピード EURO MISSION』で対峙したオーウェン・ショウの兄デッカード・ショウ。演じるのがジェイソン・ステイサムということで圧倒的な存在感を持った文字通り最強の敵と言えるでしょう。アメリカから日本,アゼルバイジャン,アブダビ,そして再びアメリカと目まぐるしく舞台を変えての追撃戦が非常に楽しい。特にアゼルバイジャン山中での戦いは非常に見応えがありました。まさか自動車で空中から襲撃をかけるとは思いませんでした。また,今回は序盤で負傷した為にほぼ戦力外となっていたルーク・ホブス捜査官が最終決戦で戦線復帰を果たす展開も熱い。勿論,部下のエレナ・ネベスも健在です。戦闘だけではなく記憶を失いながらも前作で奇跡の生還を果たしたレティ・オルティスとドミニク・トレットとの絆の再生も見どころのひとつ。ブライアンやレティらを家族と呼ぶドムの姿が強く美しいです。

 ドムことドミニク・トレットを演じるヴィン・ディーゼルの格好良さはやはり最高。家族を守る為ならば如何なる手段も問わない彼は或る意味で弟の復讐の為に全てを費やすデッカードとは似たもの同士なのでありましょう。そのデッカードはドムやブライアン,ホブスらの協力があって初めて倒せた強大な敵でありました。手段を選ばないその強さは流石という他ありません。ドムの妹ミアと結婚し,子供を儲けたブライアンが家庭用自動車に乗っているのが微笑ましい。但し,やはり彼は死地に身を置く方が似合っているように思います。アゼルバイジャンにおける崖上での戦いは見応えがありました。一度はドムの元を去りながら,断片的に記憶を蘇らせ,再び仲間となるレティも変わらず魅力的。アブダビでの女性同士の戦いは面白かったです。今回初登場となる天才ハッカーのラムジーを演じるのはナタリー・エマニュエル。その美しさは特筆もの。電子戦に特化した仲間というのは初めてなので是非とも次回作にも登場して欲しいものです。そして,アメリカ政府の秘密工作員を総べるミスター・ノーバディはカート・ラッセルが演じることもあって存在感十分。次回作への布石となりそうな人物に思えました。

 如何にも〈ワイルド・スピード〉らしい外連味に溢れたカー・アクションが魅力の作品でありました。敵としてのジェイソン・ステイサムの圧倒的な強さも素晴らしい。なんとなく次回作でも登場しそうな雰囲気が漂っているのは気のせいかな。そして,何よりもポール・ウォーカーの格好良さを堪能出来るのが本作で最後というのが残念でなりません。最終場面でドムの運転する自動車と道を別っていくのがあまりにも象徴的です。最早,ブライアン・オコナーの雄姿を次の〈ワイルド・スピード〉で楽しむことが出来ないことが大変悲しい。此処まで存分に楽しませてくれたことに限りない感謝を捧げます。ブライアン・オコナーの,ポール・ウォーカーのいない〈ワイルド・スピード〉が如何なる姿を見せるのか期待しています。今作はドムとブライアンの最後の〈ワイルド・スピード〉に相応しい渾身の傑作でありました。
posted by 森山樹 at 06:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想(劇場)

2015年07月11日

2015年前半を振り返って

2015年上半期に鑑賞した映画は29本。
それなりに観た印象はありますが,もう少し観たかったところです。
特に単館系の作品を結構な数見逃しているのが残念。
遠征しないと鑑賞出来ない作品は億劫になってしまうのですよね。
せめて近場で鑑賞出来る作品だけでも漏らさないようにしたいものです。
なお,邦画は8本の鑑賞でありました。
その殆どがアニメと特撮でありますけれども。

敢えて印象に残った作品を挙げると以下の通り。
『イミテーション・ゲーム』
『ワイルド・スピード/SKY MISSION』
『THE NEXT GENERATIONパトレイバー/首都決戦』
『チャッピー』
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

『イミテーション・ゲーム』はアラン・チューリングを描いた歴史映画。
エニグマ暗号解読に取り組んだ彼の青春が眩しい。
ベネディクト・カンバーバッチの演技が素晴らしかったです。
キーラ・ナイトレイもやっぱり魅力的な俳優ですね。
『ワイルド・スピード/SKY MISSION』は〈ワイルド・スピード〉最新作。
ポール・ウォーカーの在りし日の姿を見るだけで涙が出てしまいます。
特に最後の道が分かたれる場面の演出はあまりにも美しい。
物語としては敵であるジェイソン・ステイサムが猛威を振るっていました。
次回作も予定されているらしいのですが,如何なる形となるのか楽しみです。
『THE NEXT GENERATIONパトレイバー/首都決戦』もかなり好き。
『機動警察パトレイバー2 The Movie』の実写版とも言えます。
最新鋭戦闘ヘリコプターの凶悪な強さが実に魅力的。
特車二課の面々が戦闘に赴く場面が格好良すぎました。
主人公は完全に後藤田隊長でありましたけれどね。
『チャッピー』は如何にもニール・ブロムカンプ監督作品といった感じ。
ヨハネスブルクが意外に魅力的な街に思えてしまうのが不思議です。
意外性のある結末も楽しかった。
ダイ・アントワードのふたりの存在感も素晴らしかったです。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は期待以上に最高に楽しめました。
或る種の金字塔的な映画となるのでしょう。
ほぼ全篇が暴力的な内容であるのに,爽快感のある結末というのが面白い。
無駄に存在感のある登場人物たちが実に映えていました。
特にファイヤーギターマンは格好良かったですね。
本篇の内容はパンフレットを読まないときちんとは理解できないのですけれども。

下半期はやはりもう少し映画の鑑賞量を増やしたいもの。
興味のある映画を見逃すことを極力少なくしたいと思います。
本当に鑑賞したい映画は近場でやってくれないことも多いのですけれどね。
また,滞っている感想も何とか追いつきたいと思います。
夏が終わるまでに即時感想を常態化させることが出来ればなあ。
期待の映画は多いので存分に楽しんでいきたいと思います。
posted by 森山樹 at 08:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑文