2015年06月28日

ナイト・ミュージアム/エジプト王の秘密

〈2015年映画感想18本目〉
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ナイト・ミュージアム/エジプト王の秘密
NIGHT AT THE MUSEUM: SECRET OF THE TOMB
2014年 アメリカ 98分
監督:ショーン・レヴィ
配給:20世紀フォックス
出演:ベン・スティラー,スカイラー・ギソンド,リッキー・ジャーヴェイス,レベル・ウィルソン,ディック・ヴァン・ダイク,ミッキー・ルーニー,ビル・コッブス

 〈ナイト・ミュージアム〉シリーズの第三作目にして完結篇。但し,過去二作はまともに鑑賞していないので,比較することは能いません。尤も,本作だけを鑑賞しても十分に楽しめることと思います。舞台はアメリカ自然史博物館と大英博物館。アメリカ自然史博物館の展示物に生命を与えていた魔法の石板がその力を弱めたことから,警備員のラリーが仲間たちと石版の秘密が隠されている大英博物館へと赴くことにあります。博物館好きとしては,その展示物に生命が吹き込まれ騒ぎまくるという描写だけで素直に楽しい。物語としては御都合主義で凡庸に思えますが,その楽しさだけで満足してしまいます。魔法の石板の力を回復させる方法は割と安直だったのは残念でした。重要な要素であった親子の絆も存外に王道の域を出ていませんが,魔法の石板絡みで終盤もうひとつの親子が登場するのは良かった。勝手に博物館の展示物を警備員が置いてくるのはどうかと思いましたけれども。

 主人公の警備員ラリーを演じるのはベン・スティラー。喜劇調の物語に彼は似つかわしい。ロビン・ウィリアムズが声優を務めるテディことセオドア・ルーズベルト大統領像との友情が素敵でありました。因みにベン・スティラーはネアンデルタール人のラーも演じています。このラーはラリーに似せて作られたという設定なので順当と言えば順当なのですが。このラーが意外な立場で終盤活躍するのが面白かったです。他にも多数の博物館の展示物が登場しますが,ノドジロオマキザルのデクスターの活躍も目立ちました。大英博物館組では悪役に似た立ち位置を務めるランスロットが目立っていましたが,個人的には古代中国部門に展示されていた相柳の格好良さが印象的でした。他にも展示物のヴェスヴィオ火山が噴火するなどの事件が起こるのも楽しい。魔法が解けた後の整合性がどうなっているのかが気がかりです。多分,無かったことになってしまうのでしょうけれども。また,魔法の石板をランスロットが奪い,大英博物館の外へ逃走することで,トラファルガー広場のライオン像が生命を宿すのも素敵。博物館の展示が動いているのを見るだけで楽しくなってしまいます。

 設定の楽しさだけで十分に満足。こういう作品は寧ろ物語が王道の方が似つかわしく思います。機会を逃して過去二作を鑑賞していないことを悔やまざるを得ません。特に第二作目は舞台がスミソニアン博物館というのが素晴らしい。アメリカ自然史博物館,スミソニアン博物館,そして今作の大英博物館と世界に名立たる博物館を舞台とした夢のような物語であると言えるでしょう。世界史好き,そして博物学好きとしては心底楽しい作品でありました。もう少し物語が練られていればとも思いますけれども,十分に満足出来ました,子供の頃に出逢っていれば,なお楽しめたことでありましょう。
posted by 森山樹 at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想(劇場)

2015年06月22日

牙狼〈GARO〉−GOLDSTORM−翔

〈2015年映画感想17本目〉
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牙狼〈GARO〉−GOLDSTORM−翔
2015年 日本 82分
監督:雨宮慶太
配給:東北新社
出演:栗山航,南里美希,桑江咲菜,黒木桃子,井坂俊哉,泉谷しげる,柄本明,影山ヒロノブ

 〈牙狼〉シリーズの劇場版第6作目。TV版『牙狼〈GARO〉〜闇を照らす者〜』と本作と同名の『牙狼〈GARO〉−GOLDSTORM−翔』を繋ぐ作品となっています。というよりも,TV版『牙狼〈GARO〉−GOLDSTORM−翔』の前日譚にあたる位置付けのようです。例によって,TVシリーズは未視聴なのですが,本篇だけでも十分に楽しめる作品となっているのは嬉しい。これまでの劇場版と登場人物は一新されていますが,基本設定や世界観はほぼ同一の為に違和感なく楽しむことが出来ました。舞台はラインシティという街。やはり〈GARO〉シリーズは現代都市を舞台にした作品が一番似つかわしく思えます。かつてホラーのいない世界を夢見て戦った魔戒法師・双竜法師によって造られた人型魔道具の阿号を巡る戦いが物語の中心となります。勿論,巨悪としてホラー・デゴルも登場しますが,阿号の印象があまりにも強いというのが特徴的。双竜法師の意志を受け継ぐがあまりに暴走してしまう阿号が悲しく思えます。悪ではない敵という存在はやはり心惹かれるものがあります。

 今作の主人公は栗山航が演じる道外流牙。黄金騎士ガロに変身するのですが,冴島鋼牙との関連性はあるのでしょうか。或いはTVシリーズ版では語られているのかもしれませんけれども。〈牙狼〉シリーズの主人公らしく強くて格好いい魅力を備えています。そして,性格が陽性ということもあって,物語の雰囲気自体が明るいのも面白い。尤も,戦い自体はやはり苛烈ではあります。流牙が目覚める黄金騎士ガロ翔の格好良さも素晴らしい。その流牙を支える魔戒法師の莉杏役は南里美希。可愛らしさの中に強さを秘めた非常に魅力的な女性です。彼女に限らず,〈牙狼〉シリーズのヒロインはみな素敵なのですよね。或いは特撮的に正統派のヒロインと言えるのかもしれません。勿論,いつも通りに外連味に溢れた衣装も艶やかであります。もうひとりのヒロインと言えるのがラインシティを守護する魔戒法師リュメ。演じる桑江咲菜による幼い言動が楽しいです。但し,卓越した法力の持ち主であり,その力は黄金騎士ガロの鎧を浄化出来る程。ふたりの脇侍を駆使した技巧的な戦いも楽しいです。そして敵として対峙することになる阿号役は井坂俊哉。双竜法師を慕うがあまりに師の言葉を曲解して暴走してしまいますが,ホラーのいない世界を願う心は純粋なものでありました。その手法は到底承服出来ないものでしたけれども。ホラー・デゴルとの戦いの中で黄金騎士ガロ翔の求めに応じる姿は熱かった。

 相変わらず,非常に好みの作品でありました。〈牙狼〉シリーズの独特の雰囲気は大変に好みであります。いつかはTVシリーズ版も鑑賞したいところではありますが,相当に数を重ねてしまっているのが辛いところ。基本的には劇場版を追いかけることになろうかと思います。本作の主人公である流牙と莉杏は歴代の主人公の中でもかなりお気に入りなので,彼らを中心に据えた更なる劇場版の制作を望んで止みません。勿論,『牙狼〈GARO〉−RED REQUIEM』の烈花や『絶狼〈ZERO〉−BLACK BLOOD』の銀牙騎士・絶狼こと涼村零との共闘もして欲しいところではあります。〈牙狼〉シリーズとして存分に楽しめる作品でありました。
posted by 森山樹 at 06:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想(劇場)

2015年06月15日

イントゥ・ザ・ウッズ

〈2015年映画感想16本目〉
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イントゥ・ザ・ウッズ

INTO THE WOODS
2015年 アメリカ 125分
監督:ロブ・マーシャル
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ
出演:メリル・ストリープ,エミリー・ブラント,アナ・ケンドリック,クリス・パイン,ジェームズ・コーデン,クリスティーン・バランスキー,リラ・クロフォード,マッケンジー・マウジー,ジョニー・デップ

 おとぎ話を題材とした同名のミュージカルの映画化作品。本作もミュージカル映画になっています。事前情報を仕入れていなかったので,かなり面喰いました。それでも最近はミュージカル映画に或る程度の耐性は出来ているのでそれなりに楽しむことは出来ました。問題は物語の方かなあ。「シンデレラ」や「赤ずきん」,「ジャックと豆の木」,「ラプンツェル」などの登場人物が有機的に絡み合い物語を織り成すというのは非常に好みなのですけれども,最近のディズニー映画の常として王子が基本的に屑というのは辛い。特にシンデレラの王子はシンデレラと結ばれた後にパン屋の妻に手を出し,彼女の死を齎すという最悪の立ち位置を与えられています。この悪意ある描き方の意味が非常に謎。シンデレラの王子に限らず,登場人物は誰も彼も性格に問題を抱えている印象が強いです。或る意味では原作となったおとぎ話に忠実な描写かもしれませんけれども。おとぎ話に対する強烈な皮肉を込めた反定立と言えるでしょう。個人的には歪んだおとぎ話は割合に好物なので楽しめましたが,物語としても御都合主義を極めており,気になる個所が多々ありました。ディズニーでよくこの企画が通ったなあと思います。原作のミュージカルもこのような感じなのでしょうか。

 主役の魔女役はメリル・ストリープ。魔女役は本当にはまり役です。最早この人以外に魔女役は考えられません。最終的に全ての災禍の罪を押し付けられて,再び魔女に戻りましたが,やはりこの姿の方が似つかわしいです。予告篇では主役級に扱われていたジョニー・デップは殆ど出番なし。呆気ないくらいに直ぐに退場してしまいます。再登場を期待していたのに結局最後まで戻ってくることはありませんでした。寧ろ主人公として物語を牽引するのはジェームズ・コーデンが演じるパン屋の主人の方。子供が出来ない呪いを解く為に魔女の指示に従い,4つの品を集めるというのが前半の大きな山場となります。但し,この集め方は殆ど詐欺同然の酷いやり方。まあ,おとぎ話と同様と言えばそれまでなのですけれども。パン屋の妻役はエミリー・ブラント。その美しさはシンデレラやラプンツェルよりも際立っています。一応は本作では唯一のまともな人という感じはします。しかし,赤ずきんとシンデレラ,ジャックとパン屋の主人の4人が互いを罵り合う姿にはかなり笑いました。おとぎ話の融合が破綻していることを意味しているかのようです。そして,終始物語の外に置かれていたラプンツェルの存在意義は謎。パン屋の主人の妹の筈なのですが,最後までそれに触れられることはありませんでした。

 なんというか,微妙な作品ではあります。面白くないわけではありませんし,楽しめた部分も多いです。しかしながら,満足度は非常に低い。それは「おとぎ話のその後を描く」という目的が期待通りに達せられていないという部分にあるのかと思います。観客が何を求めてこの映画を鑑賞するのか,その期待にきちんと応える内容だったのかというと残念ながら不合格といった印象が強いです。最初から歪んだおとぎ話の主人公たちの醜い人間関係を提示するという内容であれば問題はなかったのですけれどね。ミュージカルの原作を知っていれば,また違う感慨を抱くことになろうかとは思います。しかし,自分の期待にそぐう内容の作品では残念ながらありませんでした。メリル・ストリープの演技だけが印象に残ります。
posted by 森山樹 at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想(劇場)

2015年06月11日

さよなら,クリストファー・リー

英国の名優クリストファー・リーが亡くなりました。
93歳だったそうです。
この年齢まで現役の俳優として活躍していたのが素晴らしい。

クリストファー・リーと言えば,やはり吸血鬼役ですね。
あまり古い映画を観ない自分にもそのことは刷り込まれています。
近年では『指輪物語』『ホビット』のサルマン役でありましょう。
作者のJ.R.R.トールキンとも親交があったというのが素敵です。
エルフ語の理解出来る俳優でもありました。
個人的にはHMバンドのRHAPSODY OF FIREとの関係も忘れ難いものがあります。
HMシンガーとしての活躍は流石に体験していませんけれども。

何はともあれ,おつかされさまでした。
そして,たくさんの楽しみをありがとうございました。
貴方の姿は永遠に銀幕の中に残ることでありましょう。
posted by 森山樹 at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 情報

2015年06月10日

スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号

〈2015年映画感想15本目〉
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スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号
2015年 日本 95分
監督:柴崎貴行
配給:東映
出演:竹内涼真,中村優一,稲葉友,半田健人,天野浩成,内田理央,吉井怜,浜野謙太,井俣太良,倉田てつを,片岡鶴太郎,及川光博

仮面ライダーとスーパー戦隊が共演する〈スーパーヒーロー大戦〉シリーズの第4作目。今回はショッカーにより征服された世界を舞台とした仮面ライダーたちの戦いが描かれます。劇場版独自の仮面ライダーとして仮面ライダー3号が登場。また,題名のとおりに仮面ライダーたちによるレース対決である仮面ライダーグランプリが描かれますが,その必然性は極めて薄い。劇場版としては毎回のことですが,今回はいつも以上に脚本の破綻が酷い気がします。物語をきちんと練り込まずに思いつきだけを綴ってしまっているようにさえ感じました。また,ショッカーが支配する世界の中で555や仮面ライダーブレイド,ギャレンを始めして,本来は正義の味方であるべき仮面ライダーたちの殆どが悪の手先として主人公を担うドライブと対峙するという展開は爽快感を失わせています。特に555やギャレンは本来の変身者である乾巧や橘朔也らが変身するので余計にその違和感が拭えません。この種のお祭り映画に脚本を求めるのは無為なこととは理解していますが,今作はほぼ最悪に近い状態でありました。

 主人公を務めるのはお約束通りに現行作品である『仮面ライダードライブ』のドライブと劇場版独自の仮面ライダー3号のふたり。ドライブはともかく仮面ライダー3号は及川光博が演じることもあって,存在感が十分にありました。悪の仮面ライダーとして生まれながら,正義の心に目覚める展開は〈仮面ライダー〉の王道でありましょう。また,『仮面ライダー電王』のゼロノスが割と出番が多いのが楽しい。これは今作が『仮面ライダー電王』と同様に歴史改変が題材となっていることに起因するのかもしれません。勿論,相方であるデネブとの掛け合いも健在であります。個人的には『仮面ライダー剣』に登場したブレイド,ギャレン,カリス,レンゲルの4人に本来の変身者が声を当てていたことが心底嬉しかった。尤も,レンゲルがショッカーの幹部でありブレイド,ギャレン,カリスがその配下であるという立ち位置には承服しかねますけれども。555も半田健人が乾巧役を演じているのに悪役とされるというのは好みではありません。このあたりはなんとかならなかったものかなあ。今作独自のショッカーの新怪人チーターカタツムリの造形は格好良かった。なお,スーパー戦隊は手裏剣戦隊ニンニンジャーが最終盤で客演するに留まっています。

 いつも通りのお祭り系〈仮面ライダー〉映画と言ってしまえばそれまでですが,それにしても今回は物語も演出もあまり好みではありませんでした。と言うよりも,この種のお祭り映画に既に無理が来ているようにも思えます。公開される限りは一縷の望みを託して鑑賞することになるでしょうけれども,一旦打ち切ってしまうのも検討されるべきではないのかなあ。たくさんの仮面ライダーが画面中で暴れまわるという絵面は楽しいのは確かですが,個々の仮面ライダーの活躍をじっくりと鑑賞するのは不向きですしね。目新しい設定だけを優先して物語がおざなりになっている感が非常に強い作品でありました。
posted by 森山樹 at 06:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画感想(劇場)